12664人が本棚に入れています
本棚に追加
「雅司ぃー。また見に行くのかぁ?」
傍で声が聞こえる。
彼は高校に入学してから仲良くなった河本(カワモト)。
お調子者だけど良い奴だ。
「またって……前に見てからもう2時間も経ってるじゃないか」
「まだ2時間の間違いな…。あのなぁ、正直そんなに頻繁に見に行ってたら、ただのストーカーと変わんねぇぞ?わかってんのか?」
「わかってるよ。わかってるから河本も着いてきてよ。お願い」
両手で拝み河本に頼む。
「俺は別にいいけど……アレを遠くから眺めるだけなんて楽しいか?男ならはっきりと気持ちを……」
「いいの。僕は彼女を見ているだけで。それで満足だよ」
我ながらストーカーみたいだな、と自己嫌悪に陥る。
だって僕なんかが話し掛けても、彼女は…
赤松珠江さんは…
構ってくれないと思うから…
「はぁ……恋愛は好きになった方が負けって言うけど、まさしくその通りだな…」
僕と河本は昼休みを利用して彼女のいる教室まで来た。
2時限めの後の休み時間にも見に来ていたけど、何度見ても彼女の美貌を見飽きることはない。
最初のコメントを投稿しよう!