始まり

2/13
前へ
/300ページ
次へ
「雅司ぃー。また見に行くのかぁ?」 傍で声が聞こえる。 彼は高校に入学してから仲良くなった河本(カワモト)。 お調子者だけど良い奴だ。 「またって……前に見てからもう2時間も経ってるじゃないか」 「まだ2時間の間違いな…。あのなぁ、正直そんなに頻繁に見に行ってたら、ただのストーカーと変わんねぇぞ?わかってんのか?」  「わかってるよ。わかってるから河本も着いてきてよ。お願い」 両手で拝み河本に頼む。 「俺は別にいいけど……アレを遠くから眺めるだけなんて楽しいか?男ならはっきりと気持ちを……」 「いいの。僕は彼女を見ているだけで。それで満足だよ」 我ながらストーカーみたいだな、と自己嫌悪に陥る。 だって僕なんかが話し掛けても、彼女は… 赤松珠江さんは… 構ってくれないと思うから… 「はぁ……恋愛は好きになった方が負けって言うけど、まさしくその通りだな…」 僕と河本は昼休みを利用して彼女のいる教室まで来た。 2時限めの後の休み時間にも見に来ていたけど、何度見ても彼女の美貌を見飽きることはない。  
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12664人が本棚に入れています
本棚に追加