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少し前の高校の入学式。
僕はどうも落ち着かない感じでオドオドしていた。
受かるか落ちるかの瀬戸際だった地元の県立高校。
なんとかギリギリで受かり、こうやって当たり前に学校にいる。
半分嬉しいけど、半分はこれからの新しい生活にドキドキしていた。
そんな僕に声をかけてきた奴。
それが
「おぅ!どうした?そんなにオドオドして」
河本だった。
最初は少し警戒してたけど、少し話しただけで河本が裏表のないすごく良い奴だということがわかった。
そこからは急激に仲良くなった。
良く考えたら馴れ馴れしい奴だとは思うけど……
河本のおかげで緊張していた僕は気分が楽になった気がした。
会場である体育館に入り、入学式が始まるのを待つ。
別のところで何故か人集りができていたけど、その時はあまり気にしなかった。
しばらく、何気なく人集りを見ていると、いつの間に入ったのか河本が人集りから出てきた。
そして少し疲れた感じで僕が座っている座席の横に座った。
「あんな人集りの中で…なにをしてたの?」
「あぁ、実はな。今年の新入生の中に凄い美人な奴がいるんだよ。あの人集りはその噂を耳にした取り巻きってわけ」
「美人?あれだけの人集りになるなんて…よっぽどの美人さんなんだね」
「まぁな。あれだけの美人は滅多に見れないと思うぞ?お前も見てこいよ」
「いや、僕はいいよ。それよりもうすぐ入学式始まるよ?」
体育館のステージでは学校の教師がマイクをセットし直していた。
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