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「新入生のみなさん、この度は…」
教頭先生らしい人のありがちな挨拶が始まった。
長々と同じような意味を並べている。とても、これ以上に退屈なことはない。
隣にいる河本は寝息をたて、鼻ちょうちんを作りながら寝ている。
入学式なのによく居眠りできるな……
「……新入生代表、挨拶」
不意にそんな言葉が耳に入る。
新入生代表か。確か新入生の中で一番頭がいい人がやるんだよな。
「新入生代表、赤松珠江」
「はい」
名前が呼ばれると、そう遠くない位置から声が聞こえた。
「ふがっ!?赤松珠江!?」
河本が急に起き上がった。
「ど、どうしたの?なにかあった?」
「違う!新入生代表、赤松珠江って言ったよな?!」
「え?うん。確か赤松珠江さんって…」
「そいつだよ!さっき人集りの中心にいた、凄い美人って噂された女の子!」
「…え?」
僕は席を立ち、ステージ上に上がろうとしている赤松さんを見た。
雪のように透き通るような白い肌。全てを見透かすような深く、綺麗な瞳。その白い肌だからこそより際立つ潤んだ、赤い唇。
モデルみたいな完璧なスタイル。スゴく美人な人。
その時は素でそう思った。
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