若葉の候

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ガラッという木のずれる音が教室に響いた。 開かれたドア。 そこに、1人の男子学生が肩で息をしていた。 ワックスで整えられていただろうと思われる茶髪は、走ってきたのだろうか、一部はスタイリングとは考えられない方向に向いていた。 「やぁ、ミノル」 昨年の一年間を同級していた男子学生に向かってひらひらと手を振る。 ミノルはゼィゼィと息しながら、指をさして 「おまっ、屋上っつったじゃん!」 怒りを向けてきた。 そんな怒ってるミノルもかわいいと思えて自然に笑みが出てきたのだが、それが更に彼を不機嫌にさせた。
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