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人間の幸せというものは、生まれついての選択肢の数だ。
選べるものが多ければ多いほど、人は幸せになれる。
あるいは、幸せになれる可能性が高くなる。
僕らはみんな生まれつき選択肢を持っていなかった。
着る服も、食べる物も、なにひとつ自分で選べたことは無かった。
それが普通ではないことに、とても悲しいことだと気付くまでに、十年以上もかかってしまった。
けど、僕はもう迷わない。
自分の生き方くらい、自分の未来くらい自分で決める。
ある夜、僕は施設のトイレの窓から、そっと抜け出していた。
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