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頂上には広場があって、青々(あおあお)とした芝生が一面に広がっている。
その真ん中に、大きな大きな一本の木。町の皆はその木に町の名前をつけて「寿樹(ことぶきじゅ)」と呼んでいる。
いわゆるシンボルだ。
寿樹までたどり着くと、君は決まってマーキングをする。他の場所でしないのは、それだけこの木がお気に入りなのか。
幹に寄りかかって、一息。 ここは、港の海まで一望出来る特等席なんだ。雨の日には大きな傘にもなってくれる。
鳥のさえずりと、動き出す町の人々の声が静かにハーモニーを奏でる。
とても素敵でキラキラした時間を、僕は君と二人ですごす。至福の時。
8時を知らせる鐘の音が町中に響く。 さあ、僕らも家に帰ろう。仕事が待ってるぞ。
そう言うと君は「ワン」と返事をして、家へと歩き出した。
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