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「きたわね」
深淵の闇に浮かぶ満月。
お嬢様と別れたあの部屋に酷似したその空間に、黒い長髪の少女は背を向けて立っていた。
「あれは・・・本物の月」
この空間と先の空間の唯一の違い、それは月の大きさだった。
空に浮かぶ月は、普段見慣れた大きさで淡い光を放っている。
「ようこそ永遠亭へ、吸血鬼の手下さん」
少女はくるりと振り返ると、整った顔立ちで笑みを振り撒いた。
「・・・まさか」
その瞬間、咲夜は思わず声をあげた。
続いて言いようのない微笑を浮かべる。
「今更どうしたのかしら?・・・そう、満月を隠したのは私達。永琳の術は突破されてしまったけど、それももう済んだ話、終わったことよ」
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