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金陽系第5惑星サリーナはその日もよい天気だった。
「母さん、こっちだよ。早くしないと父さんも兄さんたちも行っちゃうよ!」
「はいはい、わかってるわよ。まだみんなの背中が見えてるから平気よ、アルナ」
「見えなくなってからじゃ遅いだろ!いいからさっさとしろよ」
のんびり歩く自分にイライラしながら急かす娘を見て、リース=マラディールはそっと溜息をつく。
――男兄弟の中で育ったからって、こんなに男っぽくならなくてもいいのに。外見は、とってもかわいらしいのに。
そう思い、今日7歳になる娘、アルナ=マラディールを見る。
肩まで届いた髪は、サラサラと風に揺れ、陽の光にも負けぬくらい眩しく金色に輝いている。
そして、自分を見つめるその瞳は、澄んだブルー。
その瞳の色こそが、異端児と呼ばれる原因なのだけれど。
少し気の落ち込むのを感じ、リースは軽く首を横に振った。
アルナの誕生日のお祝いに、ずっと行きたがっていたテーマパークへ向かうのだ。
「さ、アルナ、行きましょ」
それまで自分がのんびり歩いていたことなどすっかり忘れてさっさと歩き出すリースを見て、アルナはがっくりと肩を落としてついて行った。
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