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「‥私はもう平気だ、構うな‥、貴様は次に会った時は、私の食料になるんだからな‥」
手を振りほどき、玄関へと歩く。
やはり、血を飲んでいないせいか、身体は少し不自然に揺れていた。
最初から分かっていた、歩くのもやっとで、飛ぶなんて無理な事くらい。
目の前が霞んだ時、支える様に狼男が私を正面から抱き締めていた。
「ほら、無理するなよ‥、俺の血を飲め‥、そうすれば、少しは大丈夫だろう?」
あらがう事すら出来ない程、私は力が無かった。
「いらん、‥自分で探す、離れろ狼」
キッと目を鋭く尖らせ、睨み付ける。
ただの意地っ張りだと分かっている。
だけど、甘えなどしたくない、いや、してはいけないのだ、私は一人で生きると決めたのだから。
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