スリ師の青年

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この世界の名前はウロボロス。   破滅と再生を繰り返すこの世界には魔法国家や、強大な軍事国家、不思議な形をした商業国家、他国の文化を受け入れない鎖国的な国家などが存在する。   この話はその世界……ウロボロスで起こる幾多の物語―――         《商業国家ピエーデ》   眠た気な黒髪で黒い目の青年は市場を彷徨いている。身長は170半ば、年齢は23歳。   青年はふっくらし、髭を生やした30代後半の男にぶつかると、"すまん"と言ってそのまま歩くと、立派に黒光りする財布を取り出した。     「しけてやがんな……立派なもんにこれっぽっちか」     青年は中身から現金を抜き、黒光りする立派な財布を捨て、抜き取った金で、屋台に並ぶ林檎を買ってシャリシャリと頬張る。
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