‐序章‐

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 死ぬ方法なんて幾らでもあるわ。  でも、手首を切るのも首を吊るのも美しくないわ。綺麗に死にたいの。  毒よ。でも、私が閉じ込められてるこの部屋にそんなもの……あるわけがない。  死なせて、毒を私に。早く。  そんな事ばかり言っていたら優秀すぎる使用人がこんなことを言った。 「亡命、でもしましょうか?」 「それは面白そうね」 冗談でしょう。そう思っていたの。 彼は、メルヴィルは本気だった。 私は、自由で不自由な塔から抜け出した。 退屈だったのよ。何年も同じ部屋に閉じ込められて、退屈で退屈で退屈すぎて死にたいと思っていたの。 お姫サマ失踪。 塀の外の世界。 私は、自由になった。不自由じゃない自由に。 だって今の退屈な生活より何倍も魅力的だったのだもの。 私の旅は、そうして始まった。 優秀な彼と二人。外の世界へ。
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