……永久(とわ)に愛をあなたと

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「大江山での活躍、よくやった。主上に変わり私からも礼を言う。 これで京の町も落ち着くだろう」 「はい、愚息は今日より近衛符でこの御所をお守り致します。東宮の側に控える事も多くなろうと存じますゆえ、宜しくお願い致します」 「葉、無事の帰還嬉しく思う」 「有り難うございます」 御簾越しの形式ばった挨拶に徹し素顔を隠した二人に、事情を知る者達は切なくなる。 男女であれば家柄上、入内も出来る 望めば帝の妃にさえなれる身分にある しかしこの二人にはどうする事も出来ない かわいらしい少年を小姓として側におくのはよくある事 だがそれはあくまでも戯れでなければならない 恋に発展してはならないのだ 道ならぬ恋…… 右大臣は、安倍清明に告げられた息子の恋を改めて感じていた。
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