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「…葉」
葉は話しをする隙を与えないかのように話をする
「知らなかったとはいえ、東宮様には数々のご無礼を致し、申し訳ございません。」
「随分つれないんだな
二人のときは名前で呼んでほしいと思うのは欲張りか?」
「…一雅…様
お話と言うのは何でしょうか?」
臣下の礼を崩さない葉に一雅は強引に抱きすくめる
「お前を抱いたのは成り行きでも戯れでもない
私はお前を愛している」
「いけません
一雅様がお望みなら、いくらでも夜伽のお相手はいたします。
ですがそれ以上の事は私にお求めにならないで下さい。私は臣下の一人に過ぎないのです」
「なぜ私の目を見ない?
本当にそう思うならなぜ顔を見て話さない?
葉、私に抱かれながら好きだといったお前がなぜ偽りの仮面をかぶる?」
葉は一雅の顔を見る事が出来ない
一雅の大きな手を
耳元で囁く声を忘れるはずがなかった
大丈夫
右大臣家の子息としての立場はわきまえている
あれは夢幻だったんだと何度も言い聞かせてここに来たんだ
きっぱりと断ち切らなくては
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