2785人が本棚に入れています
本棚に追加
「酒呑童子とは共に大陸を渡り、旅をしてきた。
渡る国によって神と崇められたり妖怪と言われたり…仲間達は皆死に絶え、最後は我ら二人
よもや東国の人間に滅っせられるとは思いもしなかったが」
「二人は…恋人だった?」
「そう見えたか?」
「違うのか?」
「長の年月を共にした仲間だ。それ以上の関係はない。…もっとも心を偽り続けた結果だがな」
茨木はフッと笑みをこぼした。
「好きだった?」
「我々一族の寿命はお前達とは比べ物にならない程長い。
愛する者を失った後も長い道が待っている。
お前達には想像も出来まい。我には絶えれぬ
ゆえに思いを秘め続けた」
「後悔している?」
「分からぬ。だが人間
因果を持ったせいなのか…いつからか我はお前の行く末に夢を見たいと思うようになっていた」
最初のコメントを投稿しよう!