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「…様、お兄様!」
名前を呼ばれ目を開ければ、二の姫が心配そうに覗き込んでいた。
几帳にもたれ、眠ってしまっていたらしい。
あんな夢を見るなんて、余程気持ちが揺れていたらしいと自重気味に笑みをこぼした。
「お兄様お話があります」
「…そういやお前、女房も連れず一人で私の部屋にきたのか?
左近に見つかったら大目玉だぞ」
「御簾や几帳越しにまどろっこしく話などしてられませんもの」
血は争えないらしい…
二の姫もまた、大人しく奥に収まっているような姫ではないのだった。
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