……一期一会

5/7
前へ
/127ページ
次へ
「…様、お兄様!」 名前を呼ばれ目を開ければ、二の姫が心配そうに覗き込んでいた。 几帳にもたれ、眠ってしまっていたらしい。 あんな夢を見るなんて、余程気持ちが揺れていたらしいと自重気味に笑みをこぼした。 「お兄様お話があります」 「…そういやお前、女房も連れず一人で私の部屋にきたのか? 左近に見つかったら大目玉だぞ」 「御簾や几帳越しにまどろっこしく話などしてられませんもの」 血は争えないらしい… 二の姫もまた、大人しく奥に収まっているような姫ではないのだった。
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2785人が本棚に入れています
本棚に追加