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「なあ左近、父上は?
二の姫が駆け落ちしたってのに騒ぎもしないで平穏な毎日っておかしくないか?」
「右大臣様は貢ぎ物を持って参内中です」
「貢ぎ物?」
「葉様が恋煩いでほうけている間に、世は目まぐるしく動いていたんですわ」
「…毎度訳が分からないんだけど分かるように説明して」
左近の話に疲れを覚えた頃、何やら奥で騒がしい音が聞こえてきた。
女房の一人が慌てて部屋に駆け込んできた。
「左近様っ大変です」
「何ですか騒々しい。
大きな声を出さなくても聞こえています。
葉様の御前ですよ、おすわりなさい」
先輩風をふかす左近に笑いそうになった葉は、左近にキッと睨まれる
「葉様、朝餉をお持ちいたしますので失礼します」
左近は飛び込んできた女房を連れ部屋を離れる
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