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何もやる気の起きないままぼーっと朝餉を眺めていた葉だったが、何やらざわついている邸内に左近を呼ぶ。
「左近、何かあったの?
左近?」
部屋に入ってきたのは左近ではなかった
視界に入ったのは小袿ではなく男物の狩衣…
懐かしい香の匂いが鼻をかすめ、ハッと顔をあげる
「…一…雅…」
御所にいるはずの東宮がそこに現れ混乱する
逢いたいあまりに幻覚でも見たのだろうかと
「ようやく私の名前を呼んだな、逢いたかったよ葉」
愛おしそうに自分を見つめ近寄る一雅に訳が分からない
「何で…ここに?」
「そりゃお前を掻っ攫う為だろ」
ニッコリ笑顔で答えた一雅はひょいと葉を抱き抱えると部屋から連れ出した。
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