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「ちょっどこへ行くんですか!?
降ろして!一雅!」
邸の中を抱きかかえながらお構い無しに歩く一雅に、抗議してみるが聞き入れる気はないらしい。
女房達の目もあるというのにさすがにこれは恥ずかしすぎる
顔を赤くしながら、久しぶりに見た端正な顔に見とれていると左近ら女房がこちらを見守るように立ち並んでいた
「左近、お前の主人を借りていくぞ」
「かしこまりました。
あまり無体な事はなさらないで下さいましね」
「…約束は出来ないが気をつける」
二人の会話に何の話だ?と目を白黒させて左近を凝視するが、その視線を無視し、一雅をたきつけ、頑張ってと葉を送り出した。
気がつけば馬にまたがり邸を後にしており、馬の腹を蹴りスピードを上げて走る一雅に、質問も出来ずただ、落ちないようにしがみつくしかなかった。
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