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それぞれが笙(しょう)や龍笛、和琴を奏で、月を背景に幻想的な空間を醸し出していた。
「折角美しい音色があるんですから、葉様、ぜひ合わせて舞を見せては頂けませんか?」
御簾の向こうから名指しで声をかけられギクリとする。
四の姫の一言で皆がいっせいに注目し、断りずらい雰囲気に覆われる。
「宜しければ私もご一緒させて下さい」
居並ぶ公達の中から助け船の声があがる。
葉に手を差し延べたのは、しらっと初対面の振りをした雅鷹だった。
雅鷹には、公達の格好で一雅の手伝いをしている事を秘密にしていた為、その行動に動揺する。
紳士的に微笑みながら近づくと葉にだけ聞こえる声で
「後で、分かってるよな?」
と囁かれた。
…………………。
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