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「そなたが右大臣家の御子息、葉殿か?」
目の前で語るのは、やたらと眼光の鋭い一癖ありそうな老人、安倍清明だった。
「はい、父上より言い預かりましてこちらに伺いました」
式神と思われる蝶が舞う中、葉は清明を見上げる
「…右大臣殿が私に相談したのも、今宵そなたの身に起こる出来事も、全ては運命に基づいている…か」
葉には訳の分からない話しを呟くと、清明は奥から何かを呼び付けた。
護符を加えて現れたのは鷹のような嘴の鋭い鳥だった。
「葉殿、これは私の式で雷(らい)といいます。
きっとあなたのお役に立つでしょう。今宵はこれをお貸しします故、どうかお気をつけて」
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