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どこまで走ったのか分からないが、九条の外れ辺りで消えたはずの茨木が葉の前に姿を表した。
雷は綱とともに鬼の腕の側にいるため、今は鬼と葉の二人だけだった。
「…おまえは確か…
十数年前に戯れで呪をかけた赤子だな?
ほぉ…呪を解いたか。」
「なっ…ではお前が私を呪った本人か!」
「つまらぬ。」
茨木は面白くなさそうな声を出すと、葉の額に手をあてた。
「人間よ、そなた面白い人生を歩いているじゃないか。どれ、も一つ戯れてやろう」
茨木は切り落とされた腕から流れる血を葉の顔に飛ばすと、物凄い力で顎を抑え唇を奪った。
口の中に気のような何かが送り込まれ、それは体の中へと浸透していく。
「あはははは
これでお前の人生はもっと面白い事になるぞ」
薄れゆく意識の中で、茨木の笑い声が聞こえた気がしたが、葉の意識は深い闇に落ちていった。
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