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「あの者達は船で難破をしてこの国に辿り着いた渡来人だ。
お前達人間は未知なるものを受け入れる寛容さはないからな。
迫害を受け、追われ続けたあやつらがようやくたどり着いた安寧の場所なのだ」
闇の中から現れたのは美しい女、茨木だった。
茨木のその手にはグッタリと頭を垂れた雷がいる
「あの村は終わりだ…
酒に薬を盛られたからな
酒呑童子とて屈するしかなかろう」
「なぜお前がここに」
「我の力を分け与えたのだ。お前の気配は手に取るようにわかるわ
それに綱、お前との決着もついてはおらぬゆえな」
茨木は宙を舞うと近くの木の枝に腰をかけた。
「人間が憎い
自分達の都合で崇めて敬ったり恐れて蔑んだり…
綱…我を滅すのであろう?」
「茨木、お前の歩いて来た道が困難だった事は察するが…
だが女子供をさらい暴虐の限りを尽くしていい理由にはならない
私はお前を切る」
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