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いつもと変わらないその日の晩…
月が出ていないせいか、何も見えない。文字通り真っ暗。
時折、遠くに聞こえるイャンクックの声。今日はどこかで狩りをやってるらしい。
こんな山奥なら珍しい事ではないが。
「ただいまぁ」
小さな小屋に響くくらいの大声で1人の男が家の中に入ってきた。
背中には一本の刀を背負っている。
「おかえりなさい」
家の中にいた女は丁寧な言葉使いで言い、男の方を向く。そして、笑顔を見せる。
明るくどこか悲しい笑顔を。
男は背中に背負っていた刀を暖炉の隣に立て掛け、そのまま椅子にドサッっと座った。
先の女がミルクを入れたコップを2つ両手に持ち、片方を男に渡した。
男はありがとうと受け取り半分を一気に飲む。
ふぅと一息つき
「あいつは?」
と女に投げ掛けた。
「先に寝ちゃいましたよ。さっきまで待ってたんですけどね」
女はミルクを少し飲んで答えた。そうか…と男は落ち込んだ。
そして…
ぐわあぁぁおぉぉ…
耳をつんざくような爆音がした。男は慌てて刀を取り家を飛び出し
「馬鹿な……」
暗い夜空を見上げて、そう呟いた。
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