あの過去を引きずり…

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見たこともない飛竜が2匹、夜空を飛んでいた。 姿形はリオレウスとリオレイアにそっくりだが、金色と白銀に光る体は明らかに今までに見た種類とは違う。 「なぜこんな所に…」 しかも、この場所は飛竜の来ない安全区域として、ギルドも認定している。なんで… あれこれ考えている内に2匹の竜は激しい風を巻き起こしながら地上に降り立った。 ぐわあぁぁおぉぉ… 耳を塞がなければ耐えられないような爆音で咆哮する。完全に戦闘体勢らしい。 このままではまずい。男は瞬時に悟り、握っていた刀を鞘から抜き 「あいつ連れて逃げろ!」 小屋の中で恐る恐る様子を伺っていた女に叫んだ。 女は無言で頷き、【彼】の部屋に入った。 男は愛用の刀の柄を握りしめた。 「時間稼ぎさせてもらうぞ」 男が叫ぶと同時に金色の飛竜が大きく息を吸い込んだ… ・・ ・ 女は【彼】の部屋に入った。彼はベットの横でうずくまっている。 「ここは危ないから逃げましょ」 女は焦った声で半分ヒステリックになりながら彼に言った。 彼はとーさんも!と言い動こうとしない。 そして… ずどおぉん! 爆発音と一緒に小さな小屋のほとんどが消し飛んだ。 彼は爆音の衝撃で小屋から飛ばされ、薄れ行く意識の中で金の月と銀の太陽が勝利の咆哮をあげるのを聞いた。
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