あの過去を引きずり…

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彼が目を覚ましたのは3日後だった。 ギルドの調査団に小屋があったであろう場所から少し離れた木陰で発見され、近くの小さな村に運ばれたらしい。 彼が目を覚ます2日前に女は遺体で小屋の瓦礫から見つかり、男は、見つからなかった。愛用していた刀以外は。 彼の言うことはギルドの人達も病院の人達にも信じてもらえなかった。 金銀の飛竜なんているわけがない。その一言で全て突き返された。 それから、数年がたった。 彼は病院の近くの空き家を借りて生活していた。 そして、彼の背中には一本の刀が背負われている。 彼は今日まで準備をしてきた。男に代わってハンターになるため、金の月銀の太陽の情報を得るため、そいつらを狩るため… まだまだ準備不足だが、第一歩を踏み出せる所まで来た。訓練積み重ねてきた。 彼はこれまでにない意気込みを持ち、ギルドに登録するためハンターの集う集会所に向かった。 集会所の門をくぐるとハンターが3人ボードの前でクエストを選んでいる。だけだった。 小さな村だからしかたあるまい。 「何かご用?」 カウンターの近くに行くと綺麗な顔をした受付嬢が出迎えてくれた。 「ギルドに登録したい」 迷わず答えた。 「はい。…えっと、お名前は?」 受付嬢はカウンターの下から用紙とペンを取りだしそう聞いてきた。 「イル。イル・バートンだ」 今ここに1人の新人ハンターが誕生した。
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