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ラインムートはこうしてすべての訓練生を相手にしてきた。
すでに何巡しているかわからないが、次は順繰り回って最後の訓練生タビトだ。
剣を突きつけられた男はそのまま少し離れた場所で、ラインムートとタビトが対峙するのを見つめている。
「お願いします」
「おぅ」
そう返事するのと同時、タビトは切っ先を落として走り込んで来た。
殆んど不意打ちにも近いタイミングだ。
どうやら神経の図太さは持ち合わせているらしい。
放たれた横薙ぎを、ラインムートは上から打ち落とすように弾き飛ばす。
「くそっ!」
小さく毒吐いて、タビトは床を叩いた木剣を斬り上げた。
「馬鹿野郎! 無理に速く振ろうとするからそうやって太刀筋が定まらねぇんだ!
しっかりと刃を立てやがれ!!」
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