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乾いた音を立てて鍔競り合いになるが、ラインムートは目を細めて小さく発する。
「まだまだだな……剣の使い方がまるでなっちゃいない。
刃を叩きつけりゃ斬れるなんて思ったら大間違いだぞ。
もっと剣という武器を使いこなせ。そうすりゃあ……」
そこまで言った直後、ラインムートはその体勢のまま僅かに腰を落とす。
流れるような動きで剣を滑らせた後、響いたのはタビトが持つ木剣の刀身が床に落ちた音と、ラインムートの言葉だった。
「……実剣じゃなくてもこれくらいは出来る」
「なっ……どうして!?」
思わず驚嘆の声を上げるタビト。
その声に他の訓練生が振り向き、その事態を目の当たりにする。
彼らが目を丸くしたのは、タビトの持つ剣が根元から“斬られて”いるのを理解したからだろう。
剣の形をしているとはいえ、所詮は木刀だ。
切れ味が微塵も無い得物で斬ることが出来るということに、兵士達はどうして? と言うように視線を向けていた。
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