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それを察したラインムートが口を開こうとしたとき、沈黙に包まれていた訓練室に小さな拍手音が響いた。
その場の全員がその音の出所、訓練室の出入り口へ顔を向ける。
そこにいたのは、白衣を身にした一人の男。
「ちっ……おい、お前ら。残り十五分そのまま続けろ。
いいか? 少しでも手を抜いているように見えたら、そいつにはペナルティーだ」
訓練生達に口早に指示を飛ばし、ラインムートは現れた男へと足先を向ける……ところで思い出したように発した。
「おっと、タビト! こいつを使ってろ!」
そっと投げた木剣は、少し離れた場所にいたタビトへと緩やかな弧を描いた。
タビトはそれを上手く掴み取る。
「はい! ありがとうございます!」
その言葉を背中にし、ラインムートは白衣の男へと近づく。
表情には明らかな嫌悪感を貼り付けて……
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