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「見学に来たというのは冗談です。
実は、大佐に折り入ってお願いしたいことがありまして」
「あん?」
この男が人に頼みごと……それこそあり得ない話だ。
ラインムートはこれ以上ないというほど表情を険悪に吊り上げるが、カストルはそれを気にすることなくラインムートにすっと近づく。
そして耳元で小さく囁いた。
その言葉を聞いたラインムートの目が見開かれる。
「……飛びっきりの腕扱きをお願いできますか?」
再び会話の距離を取ったカストルが、冷たい笑みを張り付かせたまま訊いた。
ラインムートは驚きで直ぐに反応できなかったが、数秒後には怒りすら露わにする。
「てめぇ……何を企んでやがる」
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