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「つまりてめぇは、俺に共謀しろと?」
「いえ」
カストルは即答し、不意に腕を差し出した。
掌には小さな金属ケース。
その蓋は開いており、幾つかのアンプルとそれを撃ち込む小銃が照明を浴びて鈍く光っている。
カストルは笑みを柔らかく緩めこう続ける。
「共謀ではありません……利が一致しただけに過ぎませんよ」
ラインムートはカストルの手にあるケースに視線を注いで沈黙した。
その後、ゆっくりと視線を上げ、カストルの表情を見やる。
ラインムートがどう答えるか分かっているのだろう。
カストルの顔には余裕すらあった。
癪に障る……が、面白くはなりそうだった。
「てめぇの目論見がなんだか知らねぇが……乗ってやるよ」
ぶっきらぼうにそう答え、相手の手からケースを掴み取る。
カストルは満足そうに頷き、笑みを浮かべた。
こうして一つの狂気と一つの力は、互いに手を結んだ。
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