prologue

5/12
前へ
/907ページ
次へ
「セイファート、僕だよ」 そう声を掛けながら出てきたのは、蒼い髪の青年だった。 刀身が黒く塗られた短剣を右手に、疲労の濃い笑みを浮かべている。 彼はセイファートと同じ黒で統一された、そしてこれも同じく損傷のひどい戦闘服を身に纏っていた。 「ウォルフ、脅かすなよ。 もう少しで斬りかかるところだったぞ」 セイファートは見知った顔に安堵し、吐息を漏らしながら柄を握った手を解く。 そして再び腰を降ろすと少し横にずれ、ウォルフが座るスペースを作った。 幸いなことに、この大きな岩は大人二人が隠れるのにも申し分ない。 下草に半身を隠すようにして立っているウォルフは、少し辺りを警戒した後、セイファートの隣へ腰を落ち着かせる。 「ごめんごめん。 そっちはどんな感じ? だいぶやられたみたいだけど」
/907ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4871人が本棚に入れています
本棚に追加