愛しすぎて……

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「和広?」 「え?」  歯ブラシを口に加えたまま、夫はわけの分からない顔をした。 「また歯磨きしてるの? さっきもしてたよね?」 「……そうだったっけ?」  和広は、何事もなかったように口をゆすぎ始めた。  小雪は脱水の終わった洗濯物をカゴに入れながら、その様子を怪訝そうに見ていた。  最近、どうも様子がおかしいと思う。  ひどくボーッとしてるし、私の話もロクに聞いてないみたいだし。 仕事の悩みなのかな? 私に言えないような事なのかな?  それからすぐに、いそいそとネクタイを締めて、ジャケットをはおって、和広はいつもと同じように会社へ出かけて行くのを、いつものように小雪は見送った。
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