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ハンドルを握りながら、和広はぼうっと前を見る。
前にいる車のブレーキランプがやたらと目につく。
さっきから……と言うよりも、ドライブに行ってからというもの、ずっと里香子の事が頭から離れない。
なんで……。
ただの従妹なのに……。
なんで……。
こんなにも意識してる……?
違う……俺にとって大切なのは妻である小雪なんだ。
でも……なんで里香子の事ばかり考えてる……?
まさか意識してるって言うのか?
まさか。
まさか……。
俺が愛してるのは……大切なのは……一人しかいないんだ……。
小雪しか……。
車を右折させると、次に仕事で訪問する家が、正面突き当たりに見えてきた。
ここは、里香子の通っている高校の近くだ。
けれど、今日はもうさすがに、里香子は家に帰り着いているんだろう。
ほっとしてるのか、残念なのか、自分でもよく分からない……。
ただ、里香子が頭から消えない。
起きていても……。
寝ていても……。
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