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「ブウ―――」
機械的な音が試合場に鳴り響いた瞬間、我に返った。
「あ、ちょっと…」
「先手吉岡3段時間切れ、後手四宮3段の勝ちです」
記録係はあっさりと言い切り、対局の終わり、つまりオレの将棋人生の終わりを告げた。
「残念だったな吉岡、また来年ガンバれよ」
対戦相手の四宮はそう言うと、オレの肩をつかみ嫌味っぽく揉んできた。
「…ゃめろ!」
その手を振りほどくと大げさに四宮は驚いた顔をした。
そしてその後ろから新聞記者が二人やってきて四宮の元へ駆け寄ってきた。
「四宮3段、プロ入りおめでとうございます!!」
-そう、四宮はオレとの対局に勝ったことで4段に昇格、つまりプロになった。
3段と4段、プロとセミプロでは意味が違いすぎる。
対局料から指導料まで雲泥の差がある。
くそっ、
オレもあと一勝で4段だったのに、あと一勝で…。
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