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「痛い……」
何か居るし、何か聞こえるが気にしない。
気にしたら負けな気がする。
「春人……? 私何かした……?」
ちらっと横目で女の子を見てみる。
うるうるとした目で俺を見上ていた。
俗に言う上目遣いというやつ。
コイツの名前は【水咲 楓(みずさき かえで)】。
肩の少し下まで伸びている深い紺色の髪の毛に、目はパッチリして、少しつり上がっているが、キツイ印象は与えない顔。
あごや輪郭はスッキリと整っていて、クールな印象を与える。
【凜】という言葉が楓に合うだろう。
そんな少女が俺に上目遣いをしているのだが、負けない。
俺は絶対に負けない。
「春人……」
「いや、何もしてないけど……」
ごめんなさい。負けました。
関わらないようにと思ったが、さすがに無理があったみたいだ。
なにせ、楓は俺が通っている学校でアイドルとして名が通っている。
そんなアイドルにこんな顔をされたら、反応せざるを得ない。
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