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奈海と夢は、ルシフェルを見た瞬間、とてつもない威圧感と恐怖に襲われた。 (な………何だよ……これ……?) (……………) 身体中から冷や汗が溢れ出し、恐怖により身体が震え、浮いているような感覚に陥っていた。 だが、夢だけは何とか冷静を保ち、ルシフェルを見る。 高さはウラノスと同じくらいであり、夢達を睨みつけている赤い目を除き、全てが漆黒の色に染まっている。背中に生えた翼も漆黒の色であり、その姿はまさに悪魔を連想させる。 そして、ルシフェルの右手には最後の一体であろう鬼の頭が無惨にもぶら下がっていた。 (…………どっち?味方?敵?) 敵か味方を考える夢。 普通に考えて容姿だけ見てしまえば敵である確率が高い。しかし、先程夢達と敵対していた鬼を倒している事、これだけ睨みつけていながら全く攻撃して来ない事。 決断するには不十分過ぎる見解かもしれないが、敵で無い可能性もある。 夢はまだ解らないが、オープンチャンネルを開き、ルシフェルに呼び掛けて見た。 『………アナタは……敵なの……?』 ルシフェルの反応を伺う夢に、奈海はつい怒鳴り声を上げる。 「な、何してんだ夢!!そんな事したら……!?」 「黙ってて!!」 「!?」 奈海は夢が大声を張り上げたのに驚き、つい言葉を無くす。 その時、ルシフェルから信じられない反応が起きた。 『………夢?』 「「!!!?」」 ルシフェルからの返答に驚く2人。だが、一番驚いたのは、その声が馴染み深い人物の声そっくりである事だ。 思わず見合ってしまう奈海と夢。 そして、夢はその人物の名前でルシフェルに呼び掛ける。 『………暁……君?』 『………マジかよ……』 ルシフェルからの返答は答えになっていないが、2人にとって、その反応は充分なモノだった。 『な、何でお前が戦車に乗ってんだよ!?』 『それはコッチの台詞だ馬鹿野郎!!何でお前がそんなのに乗ってんだ!!』 『あ゙ぁ!?……って、その声……奈海か!何でテメェまでそんなロボットに乗ってやがる!!』 『ウルセェ!!アタシが先に質問してんだ!さっさと答えろッ!』 『黙れまな板女ッ!俺が先に質問してんだろうがッ!』 『だぁぁぁれがまな板女だァァァァッッッ!!この不良バカッッ!!』 『誰がバカじゃボケェェェッッ!!』 こうして2人の(アホらしい)闘いが始まった。 「……はぁ…馬鹿ばっか……」
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