―発症

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誰から聞いたともなく始めたリストカット。 最初はほんの皮一枚でした。怖かったからです。けれど、ある日上腕部をざっくり切ったことから、一気にエスカレートしました。 その日、というより前々から、私は浅くしか切れない自分に苛立っていました。 ―死にたいくせにこの程度しか切れないのか― そんなイライラが、私のカッターを握る手に力を込めさせました。 軽く刃を引き、柄を握り込み―一気に引く。 次の瞬間、痛みより驚きがありました。 ボタボタッ…かつてなかった量の血が床に落ち、傷は幅一センチほど開いていました。 慌てて止血しました。 後から、あの時止血しなければ死ねてたかも知れないのに、と後悔しましたが…とにかくこの日を境に、私のリストカットはザクザク切るものになり、またカッターもやがて剃刀に変わりました。
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