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沖田海斗は地元の中学に入学して二年が経っていた。
茶系な自毛のミディアムカットの頭をぽりぽりと掻きながら、今日は一人で下校する所であった。
しかし、海斗は運悪くも自転車置き場の陰で不良達に絡まれている生徒をみつけてしまった。
人一倍正義感が強い海斗は、こうなっては見過ごすことができず、その生徒方へ仕方なく向かって行った。
「なぁ金貸してくれよ。三千円! いいだろ?」
「でもあなた達の事知らないですし……」
「いいじゃん。返すってって言ってんだろーがよぉ!」
「オイッ! やめろよ、お前らコイツの知り合いじゃないんだろ。」
「なんだテメーは関係ねーだろ! やる気か?」
数人の不良が海斗に手をだしてきた。
一人が海斗を羽交い締めにすると、よけることもできずに拳が海斗の腹に勢いよく入った。
「グァッ!」
海斗は腹を抱えて、地面にうずくまった。
不良に立ち向かっていく勇気があるわりに、海斗は喧嘩にめっぽう弱かった。
「なんだコイツ。口だけかよ。ハハハッ」
「なぁもうめんどくさくね? 行こうぜ!」
海斗は不良達を撃退した!……というよりは気分を変えさせた!
「あ、ありがとう。おかげで…」
「礼を言うな! オレは…負けたんだ……」
海斗は自分の正義感と弱さの矛盾に嫌気がさしていた。
(はぁ。オレにもっと力があればなぁ)
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