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風が耳からでてた渇いた涙を撫でつけ、内耳炎なみのヒリヒリとした鈍痛を誘うのだった。
さぁ、こう無意味にセンチメンタル気分にニヤついている場合ではない。ふたたび今度はウサギ跳びで先ほどのおまわりさんふたりより先に血たんまみれて絶命寸前のオオクロアリを救わねばならない。
「あんなふざけたおまわりさんにオオクロアリ救助の手柄は渡せないぜ」
と、路面にうちひしがれた演技で道行く昆虫たちの暑い視線に応えるように叫んだ。
ウサギ跳びだったせいか、ほどなく現場へ到着し、疲労した下半身に道中にあった薬局で万引きしたコールドスプレー(外野手用)を完膚なきまで噴きかけながら視線をオオクロアリに注し向けた。
「ご臨終です・・・」
遅かった・・・
ひとりバックドロップよろしく後頭部から地面に崩れ落ち、ティンパニーのごとくむせび泣いた。
「残念でした・・・我々のローラースルーゴーゴーの操縦テクが未熟なあまりに・・・」
この開き直った墓穴ティックな言葉に、いかずちマグニチュード13レベルの怒りが今朝食べたマカロニの塩から和えとともに込み上げてきた。
「きっききききき貴様らぁぁぁぁーーパタイト」
冷静にダジャレをカマした
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