尻目痛烈

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尻目痛烈

この永久歯が乳歯に生え変わる凄絶アゴ革命さながらの悲しみを目の当たりにしたあまりについ口走ったダジャレは、26点の惨憺たる結果であった。   「ううぅ、酢・・・酢が飲みたい・・・」   そして埋葬の刻。オオクロアリの尻から噴き出す、嗅覚の隅々をこねくりまわす酸味の効いた蟻酸との突然の詠別に、体内に酢を輸血ならぬ輸酢することを空に向かって約束した。   涙が酢に変わるそのとき、尿が酢になり、検尿が検酢へと、真のすっぱテロリズモが陽の芽をみるだろう。   時は酢を欲するも、時代というやつは、酢を虐げてきた。 過去を省みるゆとりはやがて怠惰の温床と扱われ、冷め冷めと冷徹な鼓動だけが、無表情な喜怒哀楽を目まぐるしく降らせる。   今昔、蝿の権化ベルゼブブの蘇生と躍動は神となるカマキリに支配されんと巨大な卵管を大地に垂らしている。 人類の存在と歴史は、何の意味を成したのか。神となれなかったのは欲と利権を絶ち、矛盾と差別に討ち勝てなかったからにほかならない。   自然の摂理を欺いた代償。庶民の味、酢に嘲笑を買い、雑木林の雄、カマキリに引導を渡された。   大昆虫・酢カマキリここに生誕。核兵器を一瞬で砕き溶かす尻から酢を噴く最強生物is here(ここにあり) ・・・
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