尻目痛烈

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尻目痛烈とはもちろん造語だが、こうして時代とは、サダメとは、不条理を常識と扱える者にのみ理解され、変えてゆけるものなのだ。   最期まで人類を錯覚の渦に突き落としつづけててきた常識を尻に敷き、あぐらをかき、痛烈に世情を斬り裂く力強さにこそ、明日の光明は微笑みをかえしてくれるものだ。   年老いた犬に微笑みながら近づき、優しくなでつけようとして激しく吠えたてられた揚句に指を噛まれ、出血した指を惜しむ前に、犬と通じあえない哀れさを恥じていればよかったのに・・・   後日、この労犬は激ウマドッグフード欲しさに出版に踏み切ったドキュメンタリー自伝回顧録にこう記した。   「ったく、まいったのはペット時代だったぜぇ。俺の好きなドッグフードを買ってこねぇから毎日うんこを絨毯の下とか布団にしてやっておとなしくアピールしてんのに気がつかねーんだよなあいつらそろいもそろってバカだぜえ。しょーがねーから、よくて保健所直行、悪くて虐待キャィーン覚悟で腹いせに寝てる間に小便くちん中にしてやったらよー、それも気がつかねーから笑っちゃってさあワンワンワンワンわわーーん、て感じっすワン」   この回顧録がきっかけで人間は犬の糞食品化に踏み切った。
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