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保健室から出てきた生徒は、金髪で短めな髪にシャツのボタンを外した、成瀬と同じような体格の不良生徒だった。「・・・・」鋭い目つきで成瀬を睨みつける不良生徒と成瀬は保健室の扉の前で対峙したまま動かなくなった。
「おい・・・邪魔だ。どけよ」不良生徒がそう言い放つと「あの・・・」田中が成瀬の後ろから顔を出した。「なんだ・・・お前かよ。さっさとコイツをどかせよ」不良生徒は顎で成瀬を指し、田中に言った。「・・・・」無言で田中は成瀬の制服を掴んで無理やり道を開けた。
校舎案内を終え自分達の教室に向かい歩いている二人・・・。しばらく沈黙が続いたが「さっきの人は大月 僚(おおつき りょう)。この辺じゃ名の知れた不良で手下みたいなのがいっぱいいるし、他の学校の生徒ともしょっちゅう喧嘩とかしてる人だから・・・あまり関わらない方がいいと思う・・・」っと田中が口を開いた。「あぁ・・そうみたいだな。あまり人と関わるのは好きじゃないんだ。それと・・・随分あいつの事を知ってるんだな?」成瀬のその言葉に、赤くなった顔を隠しながら言った。「実は・・・幼馴染なんだ・・・昔はよく遊んでたけど、中学の高学年から変わっちゃったから・・」田中は顔を隠しながらそう言ってはいたが、眼鏡をかけ前髪をたらしている黒く長い髪で元々顔はあまりよく見えていなかった。
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