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「…確かに恋人っぽい会話ではあるが…」
「高校生っぽくはないよな…」
二人は腕を組みながら考え始めた。
「………」
他人の恋愛にここまで考えることは、普通ないだろう。
おかしいからこそ考えるわけで…。
…つまり、俺と真帆さんはおかしい…と。
…………。
いや、俺を含めんな!!!
もしかして、これが普通?
「なぁ梨久。霧澤先輩ってどんな感じ?」
「どんな感じと言われても困るが、啓の考えてるようなことはないぞ」
ありがとう幼なじみ。俺の淡い期待を音速で打ち砕いてくれて。
ちなみに霧澤先輩はこの高校の二年で、梨久の彼女だ。
何度か会ったことがあるが、底抜けに優しい人だった。
博愛っていうのは、あの人のためにある言葉だろう。
「まぁ、きっとツンデレなんだよ」
遠い思考の世界をさ迷っていた俺を梨久が引き戻す。
しかし、ツンデレねぇ…。
「デレたとこ見たことないんだが…」
「きっと見逃してたんだよ、一瞬だったから」
「はぐれメ○ルかよ」
―キーンコーンカンコン―
「お。ちょうど終わりか」
「席戻るよ」
次の授業の予礼と共に好奇の目も消えた。
席に戻る二人を見て、俺も準備を始めた。
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