倒置法

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―キーンコーンカンコン― 入学して初めて聴いた時は驚いたこのチャイムを聴き、今日の授業が全部終わったことを知った。 まだHRが終わってないが、あの担任だ。有って無きが如し。 「よ~し、十秒で終わる。連絡事項は特にない、さっさと帰れ、以上。起立、礼!」 本当に十秒でHRは終わった。 もう慣れてしまった我がクラスはすぐに順応し、帰る支度を始める。 「ん…、もう放課後か?」 「あぁ」 今まで爆睡していた一樹も目を覚ました。 頬にボタンの型が付いてるが、優しい俺は何も言わない。 「放課後だっけ、告白?」 既に鞄に道具を詰め込んだらしい梨久…いや、馬鹿がそんな事を聞いてきた。 「あぁ、手紙入れておいた」 「月ヶ瀬さんだっけ」 「あぁ」 あー、今更緊張してきた…。もう来ているだろうか? 「月ヶ瀬ぇ!?」 馬鹿が叫んだ。 「なんだうるさい…」 「今、月ヶ瀬って言ったか!?あの月ヶ瀬真帆先輩!?」 俺の呟きを無視して馬鹿はまくしたてる。 何をそんな興奮してるんだ…? 「あ、もう時間だ」 「止めとけ啓!!悪いことは言わない!!」 呼んで遅れるわけにはいかない。 梨久の言葉を無視して俺は走り出した。
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