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「ふぅ……」
梨久の制止を振りきり、何とか約束の時刻にギリギリ間に合った。
見たところ、月ヶ瀬先輩はまだ来てない。走った甲斐があったと言うものだ…。
「落ち着け、落ち着け…俺」
走ったことだけじゃない胸の動悸を必死に抑えようと試みるが、全然落ち着きやしない。
異常にそわそわする俺。
『もしかしたら来ないかもしれない』
……なんて考えは今の俺にはなかった。
と言うか、何も考えられなかった。緊張のしすぎで。
だから…、
「…さっきから一人で何してるの?」
人が来たことに全くもって気付かなかった。
「――――!?」
顔を上げるとそこにはまさしく、月ヶ瀬先輩が立っていた。
俺が一目惚れした先輩が目の前にいる。
はっきり聞こえるほど、心臓がうるさかった。
先輩は俺の顔を見て、一瞬驚いたようだったが、すぐに表情を元に戻した。
「ここに来てってこの手紙を置いたのは、君?」
「は、はいっ!」
下駄箱に入ってた手紙を俺のか確かめるように先輩はそれを見せてくる。
…もう、後戻りは出来ないんだ。
俺は思うままの言葉を口にした。
「好きです、月ヶ瀬先輩が!付き合って下さい!」
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