プロローグ

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そんな俺に、長坂さんは小さな紙切れをくれた。その紙切れには、こんなことを書いてあった。 『咲ちゃんと別れないでね。咲ちゃんを幸せにできるのは、高田君しかいないから…』 その言葉に励まされ、話しかけたり、俺は遊びに誘ったり、いろいろがんばった。 でも、保科さんは、俺とは会ってくれようとはしなかった。むしろ避けていた。 俺より、友だちと遊ぶ方が楽しかったみたい… 友だち…いや、他の男たちと遊ぶのが楽しかったらしい… それを見かねて、長坂さんは何度も説得したようだったが、結局保科さんは俺の方には向いてくれなかった。 だから… だから俺は、11月の放課後、保科さんを呼び止め、こう告げたんだ。 「俺たち最近話もしてないよね…」 「…」 「これじゃぁ付き合ってても意味ないと思うんだ…」 「…」 俺からこんな言葉を浴びせられても、保科さんは何も言い返してこなかった。 だから俺は… 本当は言い出したくないことを、 本当は言い出したくない言葉を、 口にしたんだ。 「じゃぁ…別れようか…」
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