おじいちゃん、ごめんなさい。

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7歳の少し肌寒くなってくる季節に、私は見知らぬ土地へと連れていかれました。 幼い私は学校を休み、両親と旅行をしている程度にしか思っていませんでした。 「ある所に行くから付いてこい」 そう親に言われ着いた場所。そこがどう言う場所なのか流石に理解はしていましたが、何故わざわざ遠くの、電車を乗り継いで何時間もかかる場所のそんな所に来たのかまでは全く理解はしていませんでした。 消毒臭い薄暗い廊下を少しはしゃぎながら歩いていく私…。 ある部屋の前で立ち止まると母親が言いました。 「いいかん?あんたはこれから会うあんたのお祖父ちゃんにこう言わなあかんだよ?」 「うん?」 「お祖父ちゃん、早くよくなってまた会いにきてねって、元気になってねって」 「お祖父ちゃんに?」 「ほうだよ」 傍らでそのやり取りを聞いていた父親も 「いいか?ちゃんと言うだぞ?元気になってねって、分かったか?」 と念おしをし私に確認してきます。 「うん分かった。元気になってねって言えばいいだら?」 そう私が応えると父親はそこの扉をノックしました。
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