プロローグ

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再び、箱を開くと、今度は、しっかりとした、音が流れてきた。 それは、美咲が卒業した、中学の、校歌だった。 懐かしいなぁ。 美咲は、あらためて、オルゴールの箱を見つめた。 不器用に、彫刻刀で、彫られた、百合の花。 美咲は、卒業制作で、作ったオルゴールであることを思い出した。 そして、オルゴールの箱に大切にしまわれた、封筒。 美咲は、もう、何が入っているのか思い出していた。 封筒を開く。 美咲は、一枚の写真を取り出し見つめた。 翔…。 江川 翔。 それは、美咲の初恋の相手だった。 彼氏と言うには、まだ、ほど遠い、ままごとみたいな恋。 そういえば、翔は、写真が嫌いで、一緒に写したのは、この一枚だけだったよな。
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