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真新しい制服に、美咲は、袖を通していた。
鏡を覗いてみる、三年間、着れるようにと、買った、少し大きめの制服は、何処か不恰好で、不釣り合いに見えた。
「美咲、早くしなさい。入学式遅れるでしょ。」
階段の下から、大きな声で、叫ぶ母の声。
「今、行く。」
美咲は、階段をバタバタと降りて行く。
4月といっても、まだ肌寒い、田舎の入学式。
桜なんて、まだ咲くわけもない。
美咲は、期待と不安で胸が一杯だった。
美咲が、入学する中学校は、隣の小学校との合併で、生徒の人数は、今までの倍くらいになる。
どんな人がいるのかな?
友達はできるかな?
そんなことを考えていたら、校門の前まで来ていた。
立ち止まっている美咲を、追い越すように、通り過ぎていく新入生らしき姿をみて、
「大丈夫。」
美咲は、深呼吸をして、校門へと、足を踏み入れた。
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