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美咲は、俯いたまま、席に腰掛けた。
どのくらいの時間、そうしていたのだろう。
美咲に話しかけてくる声がした。
「ねぇ。ねぇ。久しぶりじゃん。川崎さんだよね?俺のこと覚えてる?」
美咲が、顔をあげると、そこには、男の子が立っていた。
誰だろう?
同じ小学校だったかな?
見たことないな?
美咲が、困った顔をして黙っていると、男の子は、さらに話しかけてきた。
「俺だよ。俺。江川 翔。」
翔は、そういって、笑った。
美咲は、じっとその男の子をみた。
「江川くん?」
「そうだよ。忘れちゃったの?」
「……。」
「俺、名前みて、直ぐにわかったのに。」
「……。」
「同じクラスになったんだし、よろしくな。」
「うん。」
美咲が、頷くと、翔は、自分の席へ戻って行った。その後ろ姿を目で追う。
斜め前が、翔の席らしい。椅子に腰掛けると後ろを向き、後ろの席に座る男の子と、話し始めた。
美咲は、翔に気づかれないように、目を反らした。
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